動画制作は企業のマーケティング戦略において重要な役割を果たしますが、その制作コストが高額になることも少なくありません。
実は国や自治体が用意している補助金や助成金を上手に活用することで、動画制作にかかるコストの削減を図ることが可能です。
ここでは動画制作に使える補助金・助成金の種類や特徴などをわかりやすく解説。申請から交付までの流れや、メリット・デメリットについてもご紹介します。
また、補助金・助成金の基本的な知識についても併せてご説明しますので、実際に申請を検討する際の参考にしていただけたらと思います。
目次
1.動画制作にも補助金・助成金が利用できる!
そもそも補助金・助成金とは?
補助金とは経済や地域の活性化を目指し、新規事業の立ち上げや研究開発のために補助してくれるお金のことで、経済産業省や自治体が管轄しています。
これに対し助成金は、雇用や労働環境の整備、人材育成といった目的で使われます。こちらは厚生労働省が扱っているものです。
民間団体の中にも「補助金」と銘打った資金提供を行っているところがありますが、基本的には対象が非営利団体に限られているため、ここでは公的機関による補助金・助成金に限って説明します。
返済義務がないのが魅力
補助金も助成金も、国や自治体などから支給されるお金であり、返済義務がありません。ただし支払いは後払いとなるため、あらかじめ手元に必要な額の資金を用意しておく必要があります。
また、融資の意味合いではないため、支給された分は申請した目的の事業に限り全額使えます。ただし「所得」として分類されるため、課税される点に注意が必要です。
補助金・助成金を動画制作に利用する場合
前述の通り、補助金・助成金にはそれぞれ目的があります。その目的に合致していれば、支給されたお金を動画制作に活用することが可能です。
補助金・助成金の種類にもよりますが、例えば機材の購入費やスタッフの研修費、クラウドサービスの利用費や外部業者への委託費などとして使えます。
自社の目的に合った補助金・助成金をうまく活用することで、動画制作にかかる費用の大幅な削減につながります。
2.動画制作に利用できる補助金・助成金の種類と特徴
ここでは最新の補助金・助成金の種類や対象者・対象経費、注意事項などについて解説します。申請方法や支給対象については変更される可能性もあるため、詳細は各補助金・助成金のホームページで確認するようにしましょう。
最新版!現在利用可能な補助金・助成金
動画制作に利用できる主な補助金・助成金は、以下の4種類です。
最大補助額 | 最大補助率 | |
小規模事業者持続化補助金 | 200万円 | 2/3 |
IT導入補助金 | 450万円 | 1/2 |
事業再構築補助金 | 1億5,000万円 | 2/3から1/2 |
自治体の補助金 | 補助金により異なる | 補助金により異なる |
なお、以下の補助金は現在申請が締め切られていますが、来年度の募集の可能性があるため、申請を検討される方はチェックしておくといいでしょう。
ものづくり補助金
以下の補助金も将来募集が再開される可能性があります。
コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金(J-LOD)
各補助金の特徴や注意点
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、一定の条件を満たす小規模事業者等が販路開拓等に取り組むための経費の一部を補助することで、生産性の向上や持続的発展を図る目的で支給されるものです。
対象者 | 小規模事業者、個人事業主、NPO法人(一定の条件を満たした者) ※対象者は業種や従業員数によって異なるため、詳細は小規模事業者持続化補助金のHPを参照してください。 |
対象経費 | 広報費、ウェブサイト関連費(動画含む)、展示会等出展費(オンライン含む)、設備処分費、委託・外注費 他 |
注意点 | ・申請には地元の商工会もしくは商工会議所の承認が必要です(会員である必要はありません)。 ・動画が期間内に公開に至らなかった場合は経費として認められないため、必ず公開にこぎつけるようにしましょう。 |
申請方法 | WEBまたは郵送 |
WEBサイト | https://s23.jizokukahojokin.info/ |
IT導入補助金
「IT導入補助金」とは中小企業・小規模事業者を対象に、業務の効率化やDX等に向けた ITツールの導入を支援するために支給される補助金です。
対象者 | 中小企業、小規模事業者 ※対象者は業種や従業員数によって異なるため、詳細はIT導入補助金のHPを参照してください。 | |
対象となるITツール | ・顧客対応・販売支援 ・総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム ・その他業務固有のプロセス 他 | |
注意点 | ・なぜ動画制作にITツールの導入が必要なのか、申請時に明確にすることが必要です。 ・この補助金の対象となるのは、あくまでも動画編集ソフト等のITツール関連の経費です。外注費等は対象とならないため、注意しましょう。 | |
申請方法 | WEB | |
WEBサイト | https://it-shien.smrj.go.jp/ |
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」とは、コロナ禍で業績が悪化した企業を支援し、ポストコロナの経済社会の変化に対応するため、意欲ある中小企業等に支給される補助金です。
対象者 | 中小企業、中堅企業 ※対象者は業種や従業員数によって異なるため、詳細は事業再構築補助金のHPを参照してください。 |
対象経費 | 広告宣伝・販売促進費 他 |
注意点 | ・支給の対象となるのは、事業を立て直すために必要な広告・販売促進費です。新規事業の立ち上げや、サービスの転換に際して制作する動画がここに含まれます。 |
申請方法 | WEB |
WEBサイト | https://jigyou-saikouchiku.go.jp/ |
地方自治体が独自に交付する補助金・助成金
上記のものとは別に、地方自治体が独自に立ち上げた補助金・助成金も存在します。ここでは動画制作に関係があるものをいくつか紹介します。
申請方法などは各補助金・助成金によって異なりますので、詳しくはそれぞれのHP等を参照してください。
北海道札幌市の映像制作補助事業
「地域資源映像化補助金」「札幌映像クリエイター支援補助金」「コンテンツマーケット補助金」の3種類に補助金が用意されています。
参考:映像制作補助事業
東京都荒川区「魅力発信動画制作補助金」
自社のPRをするための動画制作を行う区内の中小企業者を対象に、制作経費の一部を補助します。
参考:魅力発信動画制作補助金
石川県川北町「川北町企業人材採用PR動画制作費補助金」
自社の魅力を発信することで、町内の企業の人材確保を促す目的で交付される、人材採用に特化した動画制作のための補助金です。
参考:川北町企業人材採用PR動画制作費補助金について
高知県香南市「香南市企業魅力発信動画制作支援補助金」
市内の中小企業者等を対象に、動画制作経費を一部補助することで、販路の開拓や人材の確保に取り組む企業を支援します。
参考:香南市企業魅力発信動画制作支援補助金について
自社の所在地の自治体でも、動画制作を支援する補助金・助成金が用意されているかもしれません。ホームページなどをこまめにチェックすることをおすすめします。
また、補助金・助成金を探すのに便利な検索サイトもありますので、こちらもぜひ活用してみましょう。
ミラサポplus
※2024年9月時点での情報となります。詳しくは各補助金・助成金事業者にお問い合わせください。
※2024年9月掲載時点で本年度の募集が終了しているものも含みます。
3.補助金・助成金の申請・交付の流れ
補助金・助成金の申請には、煩雑な手続きが必要です。書類に不備があればその時点ではねられますし、条件や資格もそれぞれ細かく決められているため、まず自社が該当するかどうかも見極めねばなりません。
ここでは一般的な申請までの流れをご説明します。申請する補助金・助成金の要項をよく確認して、不備のないよう申請しましょう。
情報収集 | インターネットや地元の自治体の窓口などを活用し、自社の目的に適した補助金・助成金を探しましょう。 |
申請書の作成 | 公募要項を熟読し、申請書を作成します。ここで不備があると、受給の審査対象から外されてしまうことも。申請理由や補助金・助成金が交付された場合の活用方法、事業内容等も明確に記入し、説得力のある申請書を作りましょう。 |
申請書の提出 | 電子申請や郵送など指定の方法で、指定の期日を守って提出します。必要書類も忘れないように。 |
審査・結果の通知 | 審査結果の通知が届きます。申請した額のうち、実際に支給が可能な額もこの時点で通知されます。減額の可能性もあるので注意しておきましょう。 |
交付申請・交付決定 | 審査結果で通知された申請可能額にもとづき、改めて交付申請を行います。問題がなければ交付が決定します。 |
事業の開始 | 交付決定日以降に、申請内容に沿って事業を開始します。途中で調査が入る場合もあるため、受給期間中はいつでも提出できるように、報告書や請求書などの書類をきちんと揃えておきましょう。 |
事業の終了・検査 | 事業終了後は完了報告書を提出し、所轄官庁による検査を受けます。 |
補助金・助成金の交付 | 上記の検査で問題がなければ、請求書を提出。指定の口座に補助金が振り込まれます。 |
4.動画制作への補助金・助成金利用のメリットとデメリット
補助金・助成金を利用するメリット
動画制作に補助金・助成金を利用するメリットとして一番大きいのは、やはり制作コストを削減できる点にあると言えるでしょう。
最初に申し上げた通り、補助金・助成金は返済の必要がありません。動画制作にかかる費用の全額あるいは一部を補助金・助成金でまかなうことで、より高品質で効果の高い動画コンテンツの制作が実現できます。
財政的な負担の軽減はもちろんですが、自社のリソースを他の重要な業務に集中させられる点も魅力です。また、補助金・助成金を使うことで、最新の技術や器材を導入するチャンスにもつながります。
注意すべきデメリット
補助金・助成金のデメリットとして考えられるのは、やはり申請の手続きが複雑で、多くの時間と労力がかかってしまう点です。
無事に申請までこぎつけたとしても、審査の結果、必ずしも受給できる保証はありません。減額の可能性もあるため、最初から受給ありきで予算を組むわけにもいきません。
さらに交付後も報告の義務が伴うほか、受給期間中は行政機関の調査が入る場合があります。受給後の手間やリソースもある程度必要になるのです。
また、支払いは後払いとなるため、最初に自社の資金で支払いを行う必要があります。つまり補助金・助成金を受給できたとしても、あらかじめ同額のお金を手元に用意して、支払いを済ませなければなりません。
まとめ:補助金・助成金を活用して効果的な動画制作を
ここまで見てきたように、補助金・助成金を上手に活用することで、コストを削減しながら効果的な動画コンテンツの制作が可能になります。
補助金・助成金の交付を受けるためには、制作する動画の目的や予算をあらかじめ明確にすることが求められます。
最初からすべて決めておくのは大変に思われるかもしれませんが、実は制作会社に依頼する際は、この点でいろいろ楽になることも。
動画の目的や伝えたいメッセージ、そして予算があらかじめはっきりしていれば、仕上がりのイメージがより掴みやすくなります。
また、補助金・助成金の交付額や対象となる期間の範囲内で「何ができるか」「どんなものが作れるか」という点も最初の段階からわかるので、制作会社の側も提案がしやすくなります。
予算や内容に大きな変更が発生しない分、動画制作により集中して取り組め、質の高い動画の実現につながるのです。
バドインターナショナルは、お客様のニーズに合ったさまざまな動画制作を実現させてまいりました。補助金・助成金をご利用の場合も、ぜひお気軽にご相談ください。