ヒマな時、手持ち無沙汰な時、ついついずっと見てしまう「ショート動画」。「あっという間に時間が経っていた!」なんていう経験のある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
ショート動画は、現在主流となっている動画手法の一つです。ショート=短いの言葉通り、短い動画を指しますが、各SNSのプラットフォームによって、その解釈や作り方などは違ってきます。
「ショート動画を作ってみたいけれど、どのSNSがいいのかわからない」
「どのようなショート動画を作ったらいいのかわからない」
など、実際に作ってみようとした時に、勝手がわからず悩むケースも多いのではないでしょうか。ましてや、企業として取り組むとなると尚更です。
そこで今回は、ショート動画と呼ばれる縦型短尺動画を紐解き、今のトレンドや各社SNSの比較、活用方法などを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
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目次
1.ショート動画(縦型短尺動画)とは?
「ショート動画」とは、一般的には「60秒程度の長さの短い縦型の動画」のことを指し、各SNSにはそれぞれ短い動画投稿用のサービスがあります。
ただし、YouTubeには「YouTubeショート」と呼ばれるサービスがあるため、単に「ショート動画」と言うと、「YouTubeショート」のことを指す場合もあるので注意が必要です。
ここでは「ショート動画」を「縦型短尺動画」と定義した上で、各SNSのプラットフォームで展開している短い動画全般の解説をしていきます。
ショート動画はスマホで見られることを想定しているため、縦型のフルスクリーンで表示されます。画面をいちいち横にしなくても、手軽にスマホで視聴できる仕様です。
様々な情報やエンタメコンテンツが溢れかえる現代においては、ユーザーの可処分時間の奪い合いが起きています。その中でショート動画は手軽に、そして気軽に視聴できることから若い世代を中心に支持を集め、「スキマ時間にはずっと見ている」というユーザーも増えています。
ショート動画の視聴者の多くは、自分が興味を引かれる、楽しめる動画を探す際、タイパを重視する傾向が強く、短時間で取捨選択できる短いコンテンツが好まれます。その点、ショート動画はスワイプでサクッと次に行ける操作性を含め、今の時代に合っているコンテンツだと言えるでしょう。
2.ショート動画の今を探る
それではまず、現在ブームとなっているショート動画について、その状況を紐解いていきましょう。まずはLINEリサーチが、「ショート動画の利用頻度」について調査したデータをご覧ください。
出典:LINEリサーチ
このデータを見ると、毎日ショート動画を見ている人は10代では70%を超えており、やはり若い世代の利用率が高いことがわかります。
しかし50~60代でも35%の人が毎日利用しているという結果から、ショート動画は「全世代で見られているコンテンツである」ことも理解しておいたほうがいいでしょう。
次に各SNSプラットフォームにおいて、どのようなカテゴリーが多く視聴されているのでしょうか。
出典:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 視聴カテゴリー
これを見ると、各SNSによってそれぞれ特色があることがわかります。YouTubeショートは「アニメ」「ゲーム」などが高い数値になっており、Instagramリールでは「美容」「ファッション」「グルメ」といったカテゴリーが高いのが特徴です。
TikTokはいわば「ショート動画の火付け役」として牽引してきたこともあり、全体的に高い数値が出ています。中でも特に「音楽」系が一番視聴されているカテゴリーになっており、よく話題になるダンスもここに含まれます。
こういった数字は、各SNSを利用するメインユーザーの特性などにもよりますが、企業がSNS運用を取り組む際のヒントになるかもしれません。
続いては、広告に関する調査を見てみましょう。こちらも上記と同じ株式会社ADKマーケティング・ソリューションズが出したデータで、「YouTubeショート」「Instagramリール」「TikTok」の広告評価を比較したものです。
出典:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 広告の評価
このグラフからわかるのは、視聴者は基本的に「広告はスキップしたい」と思っているという事実です。
ただし、TikTokに関しては、広告も「つい見てしまう」割合が他より高くなっています。これは「いかにも」な広告感を出さないようにしているクリエイティブの影響も多いかもしれません。
出典:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 広告の評価
さらに広告を見た後の行動としては、「広告をクリックした」人の割合はInstagramリールとTikTokが高く、実際に「誰かに話した」「商品を購入するに至った」人は、TikTokの視聴者が多いという結果が出ています。
BtoC向けの商品を販売する事業者は、ユーザー属性を考えた場合、TikTok広告を検討するのもいいかもしれません。
3.各SNSのショート動画の比較
ショート動画は「TikTok」をはじめ、「YouTubeショート」「Instagramリール」「LINEvoom」など、多くのプラットフォームで実装されています。ここではその5つの代表的なSNSのショート動画で、ユーザー層・特徴・長さについての比較をしてみましょう。
さらに読む:YouTubeショートのメリットとは?
ユーザー層 | 特徴 | 尺 | |
YouTube ショート | ・10〜70代の全世代が利用している ・男女ともに視聴している ・メインユーザーは40代の男性 | ・音楽や子供向け番組などコンテンツのジャンルが幅広く豊富 ・10代〜40代は80%という高い利用率 | 最大60秒 ※2024年10月15日より3分まで拡張 |
Instagram リール | ・10〜40代をメインに全世代が利用している ・ 男女比も4:6と、差がなくなってきている | ・夕方〜深夜、起床後の時間帯が利用のゴールデンタイム ・企業アカウントをフォローしているInstagram利用者の割合が約90% ・約50%が「広告でブランドへの興味が高まる」と回答 | 最大90秒 |
TikTok | ・ 10代の利用が圧倒的に多い ・ 男女比に大差がないのが特徴 | ・ スキマ時間での視聴に向いているショートムービー ・ 気軽に発信者になれる | 最大10分 |
X(Vertical Video) | ・ 10〜60代の全世代が利用するが、比較的若年層の利用が多い ・ 男女比はほぼ変わらないが、年齢が上がるにつれ男性の比率が高くなる | ・ 速報性が高い ・ トレンド情報の検索や同じ趣味の繋がりを探すユーザーが多い ・リポスト機能でバズが期待できる | 最大140秒 |
LINE voom | ・ 10〜70代の全世代が利用している ・会社員利用が約5割を占める ・ 男女比はやや女性が多い ・ 他のSNSに比べ年配層のユーザーが多い | ・ ユーザー数の多さとアクティブ率の高さ ・ 約7割のユーザーが企業メッセージを閲覧 ・ ユーザーとの接点を構築する多彩な機能がある。ONE to ONEのコミュニケーションが可能 | 最大60秒 |
このように、各SNSによって視聴者の属性はもちろん、仕様なども違ってきます。自社に合ったSNSを選び、運用あるいは広告の展開などをしてみてはいかがでしょうか。
4.ショート動画のトレンド
世界中で数多くのユーザーがショート動画を利用・視聴していますが、その中でも特に人気を集めているトレンド、つまり流行のジャンルが存在します。
流行しているショート動画の傾向や切り口を真似てみることで、「バズ」を生み出せる可能性が高くなります。ここでは現在流行っているショート動画の、4つの主なトレンドを見ていきましょう。
ショートドラマ
ドラマ仕立てのショート動画は、2024年上半期に急増したジャンルです。「TikTok上半期トレンド大賞2024」のホットワード部門に「ショートドラマ」としてノミネートされ、この期間に「最も注目されたコンテンツ」として見事大賞に選ばれました。
配信方法にもバラエティがあり、1話完結型から複数話のシリーズものなど、様々な形式のショートドラマが制作されています。
このようなショートドラマの場合、たとえその内容が広告だったとしても、若い人たちにはポジティブに受け入れられる傾向があります。ショートドラマの視聴がきっかけとなり、商品やサービスの認知に繋がる割合も高いのが特徴です。
ショート動画は若い世代によく視聴されているコンテンツではありますが、そこからさらに上の世代に波及していくことは、これまでの歴史が物語っています。ショートドラマも、今後幅広い世代から支持されるようになるでしょう。
ストリートスナップ
こちらは昨年の「TikTokトレンド大賞2023」で、大賞に選ばれたジャンルです。トレンドとしては2023年のものですが、現在も継続して人気のある動画です。
具体的な手法としては、撮影者が街を行く人々に声をかけ、スナップ写真を撮影するというものですが、インタビューを交えることで、被写体となった人物の人となりがわかる映像に、ついつい見入ってしまいます。このジャンルでは人物以外にも、建造物やその土地特有の風景なども、多く投稿されています。
動物系動画
「好きな動画のジャンル」を挙げてもらうアンケートで、常に上位に名を連ねているのが「ペット系」「動物系」のショート動画です。
投稿数では猫や犬が圧倒的に多いのですが、インコやオウム、文鳥といった鳥類から、ハリネズミやフクロモモンガなどの小動物、果てはハエトリグモといったペットしては珍しい生き物も人気です。
動物好きなユーザーが見てくれるのはもちろんですが、そうでない人にとっては新鮮で、興味を持ってもらいやすいのではないでしょうか。
また、現在は「猫ミーム」というジャンルも、ショート動画の一大トレンドとしてヒットしています。これは猫の画像や動画を使った一種のネタ動画で、人間の日常生活あるあるを猫などの動物を使って再現し、おもしろおかしく編集したものです。
「猫ミーム」は前述の「TikTok上半期トレンド大賞2024」ホットワード部門にもノミネートされており、今後もその人気は続いていくと思われます。
ビハインド動画
「ビハインド動画」は「BTS(behind-the-scenes)」とも呼ばれ、「舞台裏」を見せる動画のことを言います。例えば「メイキング映像」などもその一種で、ドラマや舞台の映像、CM、MVの派生として見かけることが多いのではないでしょうか。
企業が作るビハインド動画としては、普段なかなか外部の人が見られないオフィスや現場の様子など、業務の舞台裏を見せる動画が考えられます。
会社の内側をリアルに伝えることで、その会社や出演しているスタッフと、それを見る視聴者との間の距離が縮まり、信頼性が高まる効果が期待できます。
5.ショート動画の活用例
企業としてショート動画を活用する場合は、マーケティングファネルの上流にある「認知」や、「興味/関心」を目的にするのが効果的だと言われています。
あまり深く考えることなく、スワイプしながらサクサクと視聴していくショート動画の特性を活かすには、まずは「知ってもらう」ことを目標とするのがおススメです。
ショート動画でサービスや商品を知り、興味を持ってくれたユーザーを、うまくWEBサイトや長尺の動画に誘導し、さらに深い理解を促す導線を設定するのが理想です。
ここでは企業のショート動画の、主な活用例をいくつかご紹介します。
さらに読む:SNSでフォロワーの心をつかむコツとは?
販促キャンペーン動画
ショート動画でよく視聴されているコンテンツに、「販促キャンペーン」があります。アカウントフォローやコメントを参加条件に、クイズ形式をとるなどして、視聴者にキャンペーンへの参加を促す動画です。リーチを獲得しやすいショート動画のメリットを活かせるコンテンツだと言えるでしょう。
あるいは視聴者に「お題」と特定のハッシュタグを提示し、その「お題」に合うショート動画を作ってハッシュタグ付きで投稿してもらうという方法もあります。視聴者自身が積極的に関与するキャンペーンとなるため、より大きな満足感や達成感を持ってもらえ、企業やサービスへの親近感や愛着が増す効果が期待できます。
ブランディング動画
ショート動画は「簡単に消費されるコンテンツ」だと思われがちですが、やり方次第できちんとブランディングの成功に繋げている企業もあります。
「誰でも簡単に観られるコンテンツ」であるのがショート動画の大きな特徴ですが、視聴者との距離が近いのもその魅力の一つだと言えるでしょう。距離感が近くなれば、「ブランドを理解してもらいやすくなる」というメリットをさらに活かしやすくなります。
もちろん、視聴者の信頼を得るには長期的な運用が必要です。視聴者からのコメントに耳を傾けながら育てていくうちに、その商品やサービスの新たな価値を発見し、さらに魅力的なブランドが生まれるきっかけになるかもしれません。
製品レビュー
「#TikTok検証」といったハッシュタグを見ていただくとわかるように、製品レビューをコンテンツとしたショート動画も数多く投稿されています。
中でも人気が高いのが、インフルエンサーに製品を提供し、実際に使用した上での正直な感想を投稿してもらうショート動画です。そのインフルエンサー自身の視聴者からの反応も期待できるため、企業にとっては非常に重要なマーケティング施策の一つになるはずです。
採用活動
最近はショート動画を、自社の採用活動に組み入れる企業も増えてきました。「ショート動画をきっかけにインターンや就職を決めた」といった声も、就活生の間から聞こえ始めてきています。
ショート動画の特徴として、視聴者が発信者への親近感を感じやすいという点が挙げられます。企業の「中の人」が発信すれば、その企業への親近感や安心感に繋がるため、求職者のニーズを捉えていると言えるのではないでしょうか。
採用動画でよく見られるのは、実際に働いている「社員の1日」や「社長や社員のインタビュー」などをショート動画形式にまとめたものです。
短い動画で自社の魅力を効果的にアピールすることで、就職先としての興味を持ってもらうきっかけに繋げていきましょう。
まとめ:それぞれのSNSの特徴を理解し、効果的なショート動画を発信しよう
ここまで、動画市場で注目を集めている「ショート動画」について解説してまいりましたが、いかがだったでしょうか。
それぞれのプラットフォームによって、投稿できるショート動画の長さや仕様は違います。視聴者層や人気ジャンルといった特徴も変わってくるため、自社の商材や狙いたいターゲットを見極めた上で、ショート動画の制作に取り組むことをおススメします。
すぐに使える予算がなかったり、制作にかける時間がなかったりする場合、既存の動画を編集してショート動画にする方法もあります。縦動画にできそうな素材があれば、ショート動画に編集し直して再投稿してみてはいかがでしょうか。
今後の市場を考えると、ショート動画の需要ははますます広がっていくはずです。特にユーザーとの接点を考えた場合、企業にとって「マスト」の施策となることが予想されます。今回の記事を参考に、ぜひショート動画の制作に取り組み、活用していただきたいと思います。
バドインターナショナルは、縦型のショート動画をはじめとした動画制作を行っております。YouTubeショート、Instagramリール、TikTokなど、各種プラットフォームに対応できますので、ぜひご相談ください。