毎年トレンドカラーが発表されているのはご存知でしょうか。ファッション業界ではよく耳にする言葉で、雑誌の特集に「今年のトレンド色を取り入れよう」などの見出しを見たことがあるかもしれません。
しかしトレンドカラーはファッション業界のみで使われているわけではありません。
色を扱う団体や企業など、いわゆる色のスペシャリストである各組織から、その年を象徴する色として毎年発表されているのです。
今回は、トレンドカラーについて深く掘り下げて、今年の流行色がどのような色なのかを紹介し、またその色をどのように活用できるのかを解説していきます。
ちなみに、昨年2023年の代表的なトレンドカラーは「ビバマゼンタ(PANTONE)」「ルミナスイエロー(JAFCA)」でした。
目次
1.トレンドカラーとは?そして、どのように決まるの?
トレンドカラーとは、色を取り扱っている団体や企業が独自の基準で発表する色です。主な団体・企業として、現在17ヵ国で構成される流行色選定機関の「インターカラー(国際流行色委員会)」、インターカラーから選出された色から日本国内独自の流行色を発表する「JAFCA(一般社団法人 日本流行色協会)」、国際的な色見本を制作する企業である「PANTONE(パントン)」などがあります。
選考方法は各組織によってそれぞれの判断基準がありますが、主に流行の傾向や消費者の動向、社会的・文化的な背景や流れなどを複合的に判断して専門家が流行色を判断します。
ただし、その年のトレンドカラーが決まったからといって、必ずその色が流行るとは限りません。組織によっては、2年前ぐらいから流行する色を予測する場合もあります。2年の間に社会情勢などが変わったことにより、生活者のマインドが変化することもあります。その年に好まれそうな色が、世間にまったく受け入れられない色となる場合もあります。
2.2024年の各社トレンドカラー9色をご紹介
それでは、発表された2024年のトレンドカラーを紹介いたします。
団体や企業ごとに紹介していきますので、それぞれの流行色の違いを見比べてみても面白いかもしれません。
PANTONE(パントン)社
パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー2024
ピーチ・ファズ( PANTONE 13-1023 Peach Fuzz)
色の標準化と色見本帳を提供しているアメリカのPANTONE社。毎年「カラー・オブ・ザ・イヤー」で選ばれる色は、世界のトレンドを左右しています。
2024年に選出された色は「ピーチ・ファズ」と呼ばれる色です。ピーチ・ファズとは「ベルベットのような優しい桃色で、心身ともに豊かにする包容力を持つ色」とPANTONE社では説明しています。
ファッション業界でも多くのブランドが取り入れているため、最も注目するカラーになります。
日本流行色協会(JAFCA)
ハロー!ブルー(Hello!Blue)
【Key words】
冷静、沈着、平静、知性、平和、共生、うららかさ、のどかさ、安らぎ、清澄、
コミュニケーション、俯瞰、調和、前向きに進む、シームレス、移り変わる色
カラートレンドの発信、色彩教育、カラーコンサルティング、色彩顕彰活動などを行っている日本流行色協会(JAFCA)。毎年12月に発表される「来年の色」は、単なる流行を予測するものではなく、社会情勢やそれに伴う生活者の意識変化などを表す色であり、その年にむけたメッセージのこもった色を選出しています。
2024年の色―メッセージカラーは、「明るく優しいブルー」が選ばれています。この色は、冷静さを与えてくれる色、未来を明るく照らしてくれる色、水に恵まれた地球の色で、平和の色とも言われています。様々な困難を乗り越え、新しい時代へ「ハロー!」と新しい時代を笑顔で歓迎するようなメッセージを込めた色として選ばれました。
Pinterest(ピンタレスト)
デザートオレンジ
グミ ピンク
アクア ブルー
モスグリーン
モカ ブラウン
画像や動画のビジュアルからアイデアを得られるソーシャルメディアであるPinterestからも流行色が発表されています。
Pinterestのクリエイティブチームが色に関連する検索キーワードなどから予測した5色は、オフロードキャンピングなどにインスパイアされた豊かで明るく暖かいデザートオレンジであったり、テラリウムデザインに象徴されるようなダークオリーブとライムグリーンが融合したモスグリーンなど、独自の視点で選定されています。
Benjamin Moore(ベンジャミンムーア)
出展:Benjamin Moore(ベンジャミンムーア)Color Trends & Color of the Year 2024
ブルー・ノーバ(825)
さまざまな色を扱う塗料メーカーも色の専門組織と言っても大げさではありません。アメリカの代表的な塗料メーカーも毎年トレンドカラーを選出しています。
Benjamin Mooreが発表した今年の色は、ブルー・ノーバと呼ばれるバイオレットとブルーが融合した高貴さが表れている色です。
ブルー・ノーバのような色は、静謐さと同時に新鮮さを感じさせ、心地よい雰囲気を作り出すことができます。そのため精神的なバランスを保ちたいときに役立つ色と言えるでしょう。
Glidden(グリデン)
リミットレス
Benjamin Mooreと同様アメリカの塗料メーカーであるGlidden社では、リミットレスを2024年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選出しました。
リミットレスとは、温かみのある黄色系の色合いです。ハニーベージュに似たトーンを持ち、自然で優しい印象を与えるため、心地よく、落ち着きをもたらす色として知られています。
3.トレンドカラーを活かすクリエイティブ
ここでは各種のクリエイティブでどのようにトレンドカラーを取り入れられるのか説明していきます。
ファッションなどでは取り入れやすいかと思いますが、広告宣伝物などでトレンドカラーを取り入れる場合は注意が必要です。
流行っているからといって、色の使い過ぎは厳禁です。逆に目立ちにくくなったり、自社のイメージを崩してしまう場合があります。さらに色は人の心理効果に大きな影響を与えるものであるため、目的やターゲットにあうかどうかの見極めが必要です。
そのように考えると、適度にトレンドカラーを取り入れてバランスよく配色するのが良いでしょう。
広告デザイン
各種広告などのグラフィックデザインに流行色を取り入れることで、その広告が魅力的に生活者に伝わる場合があります。
新商品のポスターや旬な情報を伝えるパンフレットなどに、アイキャッチ的に配色したり、タイトルやコピーなどの文字などに使ってみるのも良いかもしれません。
広告デザインのみではなく、全てのクリエイティブ制作に言えることですが、ターゲットや目的を見失わないようにしましょう。流行っている色だからといって、デザインに取り入れて自社のイメージやコンセプトにあっていないと本末転倒となってしまいます。
WEBページ
WEBページでは、ファーストビューで流行色を使ってみてはいかがでしょうか。メインカラーとするのか、ポイントとして流行色をいれるのかは、取り入れる色によって判断しましょう。
色によってはテキストが読みにくくなったり、主張が強すぎて他ページとイメージが乖離してしまう場合があります。
ターゲットと親和性が高い色であれば、背景にグラデーションや差し色として取り入れるとデザインとしてまとまりがでるでしょう。
商品パッケージ
新しく商品を発売する、あるいはパッケージを変更する場合など、そのパッケージにも流行色を取り入れるのも有効かもしれません。旬な商品であるという印象が与えられます。
ただし、商品パッケージはこまめに変更するものではないため、流行色を取り入れすぎると、その年しか使えなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
SNS
各種SNSでの投稿やキャンペーンなどに、その年の流行色を活用しているアカウントが多数あります。
SNS上では、新商品やファッションなどが多く投稿されているため、普段から目にしているSNSユーザーは流行色には敏感といえるでしょう。
新鮮でトレンドに敏感なブランドイメージを築きたいのであれば、流行色を意識して、SNSを活用してみてはいかがでしょうか。
ロゴやブランド
企業のロゴやブランドカラーをリニューアルする際に、市場での立ち位置を新しくするためトレンドカラーを用いる場合もあります。
ただし、ロゴやブランドは長期的な運用が必要となるものです。むやみに毎年色を変更できないため、慎重に色を選ばなくてはなりません。企業のビジョンやコンセプトとマッチしているような色であればその年の色をつかってみるのも一つのアイデアでしょう。
まとめ.流行色を取り入れて注目をあつめよう!
各組織から発表されている2024年のトレンドカラーを9色紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
今年の代表的な流行色である「ピーチ・ファズ」「ハロー!ブルー」「デザートオレンジ」「グミ ピンク」「アクア ブルー」「モスグリーン」「モカ ブラウン 」「ブルー・ノーバ」「リミットレス」は、どこかで目にしたことがあるかもしれません。
ここでは紹介していませんが、企業などが独自で発表しているトレンドカラーもありますので、さらに調べてみると新しい発見があるかもしれません。
トレンドカラーの活用は、ターゲットの心理に訴え、ブランドのメッセージを効果的に伝えるための重要な要素です。だからといって、むやみに取り入れるのではなく、自社のブランド、デザインやコンセプトにあっているか必ずデザイナーなどに確認しながら活用しましょう。
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