「コーデックの指定はありますか?」
と動画・映像制作会社から言われて戸惑ったことございませんか。
私たちもお客様とお話する際はなるべく専門用語は使わず理解しやすいように伝えているつもりですが、つい業界の専門用語で話してしまう場合がございます。
全ての用語を覚えたり理解をする必要は有りませんが、撮影時や動画編集時の最低限の用語を知っていれば、スムーズに作業が進んだり、間違いを防ぐことにも繋がります。
この記事では、私たちが現場でよく使う代表的な用語を作業工程ごとにまとめました。
撮影する際にイメージを伝えたい、動画編集を自分で行ってみたい、または動画制作会社に依頼する時などに、ぜひ参考にしてみてください。
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1 .動画編集前に関する代表的な用語
動画編集を行う前やオリエン時によく使われる代表的な用語です。
アスペクト比
画像や画面の縦と横の比率(縦横比)のことを指します。ハイビジョンのテレビ画面やディスプレイなどは16:9となります。YouTubeも16:9のアスペクト比を採用しています。それぞれのメディアによって4:3であったり1:1であったりするため注意が必要です。
絵コンテ
映像を作る上で重要なのが絵コンテです。映像の画面やカット割り、セリフなど1カットずつイラストなどで描き込んだものです。ストーリーボードとほぼ同義語ではありますが厳密には違います。他には字コンテと呼ばれるものがあります。
解像度
映像のきめ細かさを表す数値です。解像度をあげるとなめらかな映像になりますがデータ量が重くなります。一般的に使用されるのが「1920×1080」のフルHDか「1280×720」のHDです。4Kは「3840x2160」、8Kでは「7680x4320」となります。
キャスティング
タレントやモデル、インフルエンサーなどを選定し配役することを指します。映像の目的やイメージにあった役者を選ぶため必要に応じてオーディションも開催されます。また採用動画などでは自社の社員をキャスティングしたりします。
香盤表
撮影の進行スケジュール表です。撮影する順番、使用する小物類、モデル、撮影時間など撮影に関するあらゆる情報を一覧にまとめたものです。撮影を円滑に行うために必ず必要となります。
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字コンテ
字コンテとは、その名の通り文字でどのような映像にするのかを記したものです。セリフやナレーション、カメラワークなどを文字で表現するため、絵コンテよりも時間がかからず撮影イメージを伝えることができます。
ストーリーボード
絵コンテと混同されがちですが、ストーリーボードは絵コンテより詳細な内容を落とし込んだものです。どんなカメラワークでどんな照明にするかなど、実際に撮影するカメラマンとのイメージの共有をはかるために使われます。
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ビットレート
特定の時間(例えば1秒)のうちに使われているデータ量のことです。単位は「bps(Bits per Second)」。数値が高いほど高画質でなめらかな動画になりますが、データ量も大きくなります。
フレームレート
1秒間に使用するコマ数の事で、単位は「fps(Frame per Second)」。フレームレートの値が高いとなめらかな表現が可能となります。カクカクした動画を目にしたことがあるかもしれませんが、それはフレームレートが低い状態です。YouTubeの投稿で推奨されているフレームレートは24〜60fpsの間で、30fpsが一般的です。
※撮影に関する用語集はページ下にございます。
2.動画編集中に関する代表的な用語
撮影した映像や動画を編集する際によく使われる代表的な用語です。
粗編集
撮影素材の中から実際に使用するカットのみをつなぎ合わせたものです。加工や効果を入れずに大まかな流れを確認するための編集で、この動画を確認して問題点がないかを把握します。
インサートカット
場面と場面を自然につなげるために挿入する別カットのことです。編集のつなぎ目の不自然さを別の映像や静止画、音声などを差し込むことで、違和感なく視聴者へイメージを伝えることができます。特にインタビュー動画で内容を視覚的に補足するなどに使われます。
エフェクト
加工処理をして何かしらの効果を与えます。動画では場面の移り変わりでのフェードインや映像をキラキラさせたりなどの効果をつけることを言います。声や効果音など音に関わるエフェクトはサウンドエフェクトと呼ばれます。
MA
Multi Audio(マルチ・オーディオ)の略で、出来上がった映像の音の調整を行うことです。例えば、BGMや効果音、ナレーションをはじめ、不要な環境音を除去したり、ボリュームを整えたりと、最終仕上げの重要な工程となります。
カラーグレーディング
カラーグレーディングとは、映像の色を整える色調補正のことを言います。目的に応じて、暖色系や寒色系の色合いの映像にしたりすることができます。
仮編集
仮編集とは粗編集とは違い、テロップや必要な音声を仮で入れた完成に近い動画の状態のことを指します。オフライン編集とも呼ばれます。仮編集後の本編集はオンライン編集といい、より精緻な映像処理を行っていきます。
カット
動画・映像制作でのカットはいくつかの意味があります。編集においては、不要な部分を切り取ったり削除したりすることです。※撮影時でのカットの意味は下部を参照ください。
キーフレーム
キーフレームとは動画の始点と終点を指定し、その中でエフェクトを作成する作業のことです。フレームとは、連続する静止画で作られる動画の中で1枚の静止画のことを言います。
テロップ
動画で表示される字幕のことを言います。YouTubeなどでは非常に重要な効果を発揮し視聴数にも影響を及ぼしたりします。「スーパー」もほぼ同義語として使用されています。
トランジション
動画と動画のつなぎ目の事で、場面の移り変わりにエフェクト効果を加えることで動画を自然な印象にしたり、ダイナミックな演出を表現することが出来ます。ワイプやスライド、フェードインなど様々な種類があります。
フッテージ
フッテージとは編集されていない映像や音、画像の素材のことを言います。フッテージをタイムラインと呼ばれる動画を編集する場所にいれて動画編集を行います。
BGM・SE
BGM(background music)は動画の背景で使われる音楽で、SE(Sound Effect)は演出の一環として出される効果音の事です。動画の内容や雰囲気にあったBGMやSEは演出を効果的にする働きがあります。
レンダリング
動画制作において、編集した映像やBGM、テロップなどの素材をひとつの動画として書き出すことをレンダリングといいます。長い動画や編集が多い動画はレンダリングに時間がかかることがあります。
マルチリンガル
マルチリンガルとは複数の言語を話すことで、動画においても1つの動画で日本語と英語などのその他の言語の2種類以上の音声が含まれているものです。再生時は1言語のみの音声となります。
ナレーション
声のプロであるナレーターや声優さんに動画のストーリーやメッセージを語ってもらう表現方法です。今は機会音声などを利用する場面も増えてきいます。
ナレ撮り
ナレ撮りとはナレーションを収録することです。最終的にはナレ撮りした音声と編集した映像を合成し完成品となります。また動画が完成するまでは仮ナレ(仮のナレーション)などと呼ばれ、機械音声で行う場合があります。
ノンリニア編集
撮影した映像をデジタルデータとしてパソコン上で編集することをノンリニア編集と呼びます。編集にかかる手間と時間を大幅に縮小できるメリットがあります。テープからテープへの編集はリニア編集と呼ばれます。
3.動画編集完了後に関する代表的な用語
動画編集完了時や納品時によく使われる代表的な用語です。
エンコード
エンコードとは、動画と音声データを圧縮し最終的に再生可能なファイル形式に変換を行うことをいいます。元の動画データは非常にデータ量が多いため、スムーズな視聴が出来ません。そのために圧縮作業を行う必要があります。
拡張子
ファイル形式を識別するための末尾につけられる文字列のことを拡張子と言います。動画では「.mp4」「.mov」「.avi」「.wmv」などが一般的です。アップロードするプラットフォームによって対応している拡張子が決められています。
完パケ
「完全パッケージ」の略で、手を加える必要がない最終的な完成品のことを言います。マスターテープとも呼ばれます。
コーデック
動画と音声のデータを、圧縮・変換・復元するプログラムのこと。圧縮時と再生時で同じコーデック環境でないと視聴できません。
4 .動画撮影に関する代表的な用語
動画撮影時に現場や打ち合わせ時によく使われる用語をまとめました。
あおり・俯瞰(ふかん)
カメラを被写体の下から上に向かって撮影する手法をあおりと呼びます。インパクトのある映像が撮れるため変化をつけるときに使用します。これに対して上から下に撮影することを俯瞰(ふかん)と呼びます。
板付き(いたつき)
シーンの冒頭やカットの頭(最初)から、出演者や被写体が画面に映っている状態のことを言います。反対の意味としてはシーンの途中から出演者が外から映り込んでくることをフレームインと言います。
映材
照明用フィルターやパラフィン紙、遮光シート、テープなど撮影に必要な消耗品のことです。
オンリー
撮影時に映像とは別に音声だけを収録する作業のことを言います。街の雑踏の音や俳優のセリフだけを改めて収録したりします。例えば、出演者がセリフを喋っている時に余計な音が入ってしまった場合などにオンリーを行ったりします。
画角
カメラに映る範囲を角度で表したものを画角と言います。望遠レンズなどレンズの焦点距離が長いほど画角は狭く、ドライブレコーダーのように広い範囲を撮影するものなどは画角が広くなります。
カット
動画撮影においてのカットの意味は、撮影開始からカメラを止めるまでに撮れた1つの動画の単位を指します。
カメリハ
「カメラリハーサル」の略です。実際に撮影する前に、カット割りやアングル、動きなどを確認することを指します。
クロマキー
2つの映像を合成する手法をクロマキーと言います。後で背景を切り抜きやすいようにブルーバックやグリーンバックの背景を用いて被写体を撮影し、別の画像やCGで合成をします。
三分割構図・二分割構図
三分割構図とは、縦と横を均等に三分割した線の交点に被写体を配置する構図です。二分割構図は、均等に二分割する構図で、よく自然や町並みを撮影する時に用いられます。どちらも意識するだけでバランスがよくなる構図です。
シズル
ジューシーさやみずみずしいなど美味しそう、美しいといった五感に訴えかけるようなビジュアルや映像を指します。たとえば、肉の焼ける音や冷えたビールジョッキの霜などを表現することで視聴者の心を動かすために使われたりします。
実景
出演者がいない風景や建物の撮影を実景撮影といいます。
なめる
カメラとメインの被写体の間に人物や物を配置して奥行きを表現する手法です。例えば、AさんとBさんが向かい合って話している時に、Bさんの肩越しにAさんの顔にピントをあわせて撮影する際によく使われます。
パイロット版
公開前に作られる試作品のVTRのことを指し、主にテレビや映画などに用いられます。
フレームイン・フレームアウト
画面上に最初は入ってなかった被写体が画面の中に入ってくる演出をフレームインと言い、逆に外へ出ていく演出をフレームアウトと言います。
物撮り(ぶつどり)
人物を撮影することではなく、小物や商品などを撮影することを指します。
ホワイトバランス
様々な撮影環境の光の色の影響によって色調にばらつきが出たりします。ホワイトバランスとは、どのような光のもとでも白色を正確に映すための機能です。
見切れ
見切れとは、本来画面上に見えてはいけない人物や物が映り込んでしまうことを指します。
リテイク
撮影をしてOKが出たカットで、何かしらのミスや要望などで使用できなくなったりして、再度取り直すことをリテイクと言います。
ロケハン
「ロケーション・ハンティング」の略で、実際にロケ撮影する前に、ロケ地を探したり、下見やリサーチを行うことを言います。街なかなどの外で撮影する際には非常に重要な工程となります。
やおや
手前の被写体を低くして、後ろにいくにつれて傾斜をつけながら被写体を置くことを言います。八百屋さんの店頭で野菜を陳列する方法に由来しています。
まとめ:動画の用語を覚えてコミュニケーションを円滑に
動画編集や撮影で使用する代表的な用語を解説いたしました。用語の意味を理解しないでなんとなく使っていた用語も、この記事で改めて理解できるようになったと思います。
ある程度覚えておくことで、動画ディレクターやカメラマンなど動画制作に関わるスタッフとコミュニケーションに困ることがなくなりますので、ぜひこの記事を参考にしてみてください。