日本政府観光局 (JNTO)の「年別 訪日外客数の推移」によると、訪日外国人数は2019年まで年々増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響で一時落ち込んだものの、長期的には回復していくことが見込まれています。
こうした訪日外国人観光客の行動動機を引き出す対策として注目されているのが、動画によるインバウンド集客・プロモーションです。その背景には、5Gや動画プラットフォームの充実、スマホの普及により、動画コンテンツの利用が一般ユーザーの間ですでに浸透している状況があります。まずはこちらをご覧ください。日本政府観光局(JNTO)のEnjoy my Japan のコンセプトムービーです。
文字情報に頼らず、映像のみでも訴求できる動画は、外国人の集客・プロモーションにも有効です。本記事では、外国人に伝わりやすい動画制作の方法から動画活用のポイントまで、インバウンド対策に役立つ情報をお届けいたします。
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目次
1 .インバウンドプロモーションで動画や映像が効果的な理由
動画・映像には、インバウンドプロモーションに資する以下の要素があると言われています。
言葉の壁がなく、ノンバーバルな訴求ができる
国内向け・国外向けを問わず、言葉に頼ることなく、映像だけで魅力を訴求できるのが、動画の強みです。情報量が多く、視覚・聴覚に訴えかけることから記憶に残りやすく、言語を超えた表現が可能となります。
映像を通じて疑似体験を促せる
映像の撮り方の工夫により、リアリティや臨場感につながる「しずる感」を高める演出も、動画が得意とする点です。国内向け動画と同様、視聴覚以外の五感に訴えかけ、実際に体験しているかのような効果を生み出すことで、視聴者の「行きたい」という願望を引き出します。
拡散性がある
国内旅行の需要が大きいのは、日本国内のマーケットよりも海外マーケットです。特に、訪日旅行の需要が高い中国や台湾などのアジア圏では、旅行の情報収集にSNSが利用されているため、SNSで動画プロモーションを展開することにより、思わぬところから動画が拡散される可能性もあります。
2.魅力的なインバウンド動画を作るうえでの4つのポイント
2019年の「訪日外国人消費動向調査」(国土交通省観光庁)によると、訪日外国人は平均で8.8泊、日本に滞在しています。ここでは、この訪日外国人の行動喚起を促すために前もって深掘りしておくべき点など、動画を制作するうえでのポイントをご紹介します。
「誰に」「何を」「どのように」 伝えるかが重要
インバウンド動画で効果的なPRを行うには、国内向けの動画広告と同じく、以下の3つをあらかじめ明確にしておくことが必要です。
●「誰に」:国籍や年齢、訪日の回数など、ターゲットとなる視聴者の属性を決定します。
●「何を」:商品・サービス、あるいは地域の食や歴史など、訪日外国人にとってのメリットとなり得るアピールポイントを探します。
●「どのように」:動画には様々な制作手法があります。ターゲットや目的に合わせて、アピールポイントが伝わりやすい手法を選択しましょう。
日本らしさを伝える
訪日外国人観光客の多くは、四季のある自然の風景や日本食、歴史・伝統文化体験などに興味を持っています。例えば、地域の魅力を発信するインバウンド動画の制作なら、独自の食材や日本人らしいおもてなし・優しさなどが伝わる内容にすると、外国人視聴者の関心を引き出せるでしょう。
また、日本で快適な旅を楽しんでもらえるよう、日本のマナーや習慣などを紹介する内容もおすすめです。観光庁では、訪日外国人旅行者向けに以下のようなマナー啓発動画を公開しています。
モデルを利用する場合は外国人を起用する
ターゲットである外国人視聴者が親近感を持てるように、動画の出演者には外国人モデルを採用すると良いでしょう。また、ターゲットと同じような属性の出演者を起用することで、視聴者が動画の内容を自分事として捉えやすくなる効果もあります。
感動や説明を後押しするテロップを入れる
映像だけでは伝わりにくい気づきを与えるためにもテロップは有用です。キャッチコピーや説明文をテロップとして差し込むことで、映像のみでは伝わりにくい部分を補完したり、あるいは、より伝えたいイメージを訴求することができます。
3 .インバウンド動画の主な表現手法
訪日外国人観光客への訴求力があるインバウンド動画を制作するには、目的やターゲットに合った表現手法を採用することが大切です。
ブランディング型
その地域や商品・サービスの魅力を、映像の美しさやインパクトの強さでアピールするタイプの動画です。商品・サービスの世界観をはじめ、迫力ある自然の風景、伝統文化などの良さを効果的に伝えられます。
旅行者目線型
外国人視聴者と同じ目線を持った出演者が登場し、自撮りなども活用しながら情報を伝えるタイプの動画です。旅を疑似体験しているかのような臨場感のほか、親近感や共感も生むことができます。
レポーター形式型
旅行番組のように、レポーターが観光地や商品・サービスを紹介する動画です。訴求したいポイントをレポーターの言葉で分かりやすく伝えられることに加え、旅行者目線型と同様、視聴者へ親近感や安心感も与えることができます。
4 .海外の人に動画をより多く見てもらうための対策は?
インバウンド動画は、あらゆるところで訪日外国人の集客に活用できるプロモーション手法です。その中でも動画との親和性が高いSNSは、国内向け動画と同じく、インバウンド動画を視聴してもらいやすいメディアだと言えます。ただし、中国では閲覧できないSNSもあるので注意が必要です。
SNSの活用
先述のとおり、SNSは訪日旅行の見込み客がインバウンド動画を目にする機会の多い媒体です。YouTubeやFacebook、Instagramなどを利用した情報発信に加え、SNS広告からWEBサイトなどへの流入も促せます。
WEBサイトへの掲載
インバウンド用のWEBページに動画を掲載するのも、集客には有効です。動画を見て興味を持った外国人ユーザーが、さらに情報を得ようとWEB検索を行う可能性もあります。WEB検索から流入した外国人ユーザーの満足度を高めるため、多言語に対応した自社サイトを事前に準備しておくことも、インバウンド需要を取り込むうえでは必要な対策です。
海外のインフルエンサーやメディアへの出稿
日本と同じように、外国でもインフルエンサーは大きな影響力を持っています。自社のビジネスとマッチする海外のインフルエンサーを探し、協力を得られるように交渉してみるのも一つの手です。
その他、「japan-guide.com」などの訪日外国人が多く訪れるサイトや、ターゲットとなるマーケットの言語で書かれたプレスリリースなどで動画プロモーションを展開する方法もあります。
まとめ:インバウンド集客は動画プロモーションで効果的に対策しよう
インバウンド動画では、日本人目線のプロモーションを行うのではなく、外国人旅行者から見た日本の魅力を伝えることが大切です。さらには、動画を制作した後の効果検証も重要な工程となります。これはインバウンド動画に限らず、国内向け動画も同様です。動画広告の効果検証に関しては、SNS動画広告の記事で解説しています。インバウンド動画にご興味のある方は、記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。