動画・映像コンテンツの市場規模は年々増加傾向にあり、動画を視聴する習慣が一般ユーザーの間にもすでに浸透しています。その背景にあるのが、スマートフォン・タブレットの普及や5Gといったネットワークインフラの高度化です。
「2021年国内動画広告の市場調査」(オンラインビデオ総研/株式会社デジタルインファクト調べ)によれば、2021年の動画広告市場は昨年比142.3%の成長を遂げるなど、動画広告のニーズはますます高まっています。動画広告は、ビジネスにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。この記事では、SNS動画広告の効果や各SNS動画広告の特徴、自社でも活用できる制作方法のポイントをご紹介いたします。
目次
1 .SNS動画広告がもたらす5つの効果・メリット
SNS動画広告は、静止画広告とは違った効果・メリットがあり、ビジネスにおける様々な用途で活用されています。
静止画より多くの情報を伝えられる
動画がもつ情報量は、15秒間で約150枚の静止画に匹敵すると言われています。豊富な情報量で企業や商品・サービスの価値や魅力を分かりやすく訴求できることから、認知度向上やブランディングにも適しています。
記憶に残りやすい
アメリカ国立訓練研究所が提唱する理論「ラーニングピラミッド」によると、視覚と聴覚に働きかける動画コンテンツは、文字による静止画コンテンツと比較して、記憶定着率が約2倍になると言われています。動画コンテンツの記憶定着率を高めているのが、感情を揺さぶるストーリーとしての表現を可能にする点です。この性質を活用することで、人々の記憶により長く残る広告を実現しやすくなるでしょう。
視聴ユーザー数が多い
先述のとおり、動画広告市場は右肩上がりの発展を続けています。ICT総研の「2022年度SNS利用動向に関する調査」によると、2022年末には日本のSNS利用者が約8,270万人に達し、さらに上昇傾向が続く見通しです。動画広告の導入などで、増加が続くSNSユーザーと接点をつくる施策が必須と言えるでしょう。
関心の高いユーザーにアプローチできる
SNS動画広告では、性別・年齢・居住地・興味関心などを設定した上での配信が可能です。想定するターゲット層に対し、目的に合わせたメッセージを届けられるのが利点と言えます。
企業がSNS動画広告を利用する主な目的としては、
・ 認知獲得や拡大
・ブランディング
・潜在層へのリーチ
・比較検討段階にある層へのアプローチ
・コンバージョンの獲得
などが挙げられます。
2.SNS動画広告の代表的な種類と特徴
それでは、ここで4種類の代表的なSNS動画広告の特徴を見ていきましょう。
インストリーム広告
YouTubeなどの動画内で、再生の前後や途中に流れる広告です。スキップされるまで動画が表示されることから費用対効果が高い「スキップ可能型(スキッパブル)」や、動画が視聴された時点で課金されるものの、コンバージョン率が高い傾向にある「スキップ不可型(ノンスキッパブル)」などの種類があります。
インバナー広告
SNSやWebサイトなどの広告枠で配信される広告です。SNSなどを閲覧しているユーザーにアプローチできるので、普段は動画コンテンツを見ない方にも視聴してもらえる可能性があります。ターゲット設定も可能です。
インリード広告
SNSやWebサイトのテキストコンテンツ中に配置される広告です。ユーザーがスクロールし、動画広告が現れたら再生されます。クリックをすることなく、より自然な形で動画広告を見てもらえるのが利点で、あからさまな広告を避けたいときに適しています。
インフィード広告
FacebookやTwitterなどのフィード上でよく見られる広告です。ほかのコンテンツと同様の形式で掲載されるので、売り込み感をあまり出さずに済むのが特徴です。見込み客獲得にも寄与しやすいといったメリットがあります。
3 .各SNS広告の特徴と動画広告に適した長さ
次に、動画広告を出稿できる主なSNSの特徴と、それぞれのSNS動画広告に適した長さの目安をご紹介いたします。
YouTube
SNS・アプリの利用率で国内トップを誇り、幅広い年齢層のユーザーが利用しています。視聴された場合のみ広告費が発生するので、費用対効果も見込めるのが利点です。
スキップ可能なインストリーム広告では、動画の長さは3分未満を推奨。スキップ不可のインストリーム広告なら15秒以内が目安です。バンパー広告は6秒以内での配信となっています。
写真や動画に特化したSNSで、国内での利用者が年々増加傾向にあります。特に若い女性への影響力が高く、40代や50代でも利用が伸びています。属性に基づく細かいターゲティングも可能です。ストーリーズへの動画広告は、10秒を超えると分割されて再生される仕組みが導入されています。
リツイート機能による情報の拡散力に加え、即時性にも優れたSNSです。国内では10代、20代の利用者を中心に、30代の利用も伸びています。動画広告はタイムラインなどに出稿が可能です。動画広告は最長2分20秒までで(一部10分まで延長できる場合あり)、15秒以下が推奨されています。
世界で最も多いSNSユーザー数を有し、日本では30~50代のビジネス世代を中心に利用される実名登録制のSNSです。少額での出稿が可能で、精度の高いターゲット設定ができます。動画広告は15秒以内に収めると、最後まで再生される傾向にあります。
LINE
国内で最も多くのユーザーを抱えるSNSです。LINEのみを利用しているユーザーも多くいることから、ほかのSNSではリーチできない層にアピールできるメリットがあります。動画広告の長さは5~600秒との規定があり、15秒以下がおすすめです。
TikTok
10~20代の若い世代から人気を得ている動画に特化したSNSです。スマートフォンからの視認性を考慮し、縦型広告が推奨されています。動画広告は、TikTok Video Adsで9秒~15秒、News Feed App Series Video Adsで5~60秒を目安に制作すると良いでしょう。
4 .SNS動画広告を成功に導くポイント
SNS動画広告を成功させるためのポイントは事前の準備と動画制作テクニック、そして定期的な効果測定です。
目的・ターゲットを明確にする
SNSに動画広告を出稿する際は、事前にどのようなゴール設定でどういった人々に広告を届けたいかを明確にしておきましょう。望む成果を出すためにも、目的とターゲットに合った媒体を選んで動画広告を配信することが大切です。
フレームワークを使う
動画広告の訴求力を上げるべく、以下のフレームワークを使用してみるのも一つの方法です。
● ABCDフレームワーク
関心(Attract)、ブランド認知(Brand)、結びつける(Connect)、明確に提示する(Direct)の要素によってコンバージョンを促進
●CAMS
つかみ(CATCH)、ベネフィットのアピール(APPEAL)、動機付け(MOTIVATE)、行動の提案(SUGGEST)の構成で視聴者の行動を促す
広告内容や目的に応じ、適したフレームワークを選びましょう。
インパクトのあるサムネイルを作成する
動画広告において、サムネイルは視聴者の目を引きつけるために重要な役割を果たします。数多くのコンテンツがある中で、ユーザーが思わず見てしまうようなビジュアルと分かりやすいテキストを用意しましょう。
開始5秒にこだわる
動画広告の勝負は、冒頭の数秒にかかっています。街で見る広告と同様に、人々は動画広告にあまり関心を寄せず、興味が湧かないとすぐにスキップしてしまいます。それゆえに冒頭で自分向けの内容だと思わせることに加え、インパクトが残る演出を心掛けることも視聴離脱を防ぐコツです。
無音でも伝わる動画を意識する
モバイルでの視聴が主流となり、移動中などに無音で視聴するケースが多くなりました。直感的な理解を促す演出や字幕・テロップの活用により、展開が早くても内容を目で追えるようになるので、無音での視聴でも動画の内容を理解しやすくなります。
効果測定と改善を繰り返す
広告費を無駄に消化してしまわないように、出稿後は効果測定と検証・改善を行いましょう。複数の広告パターンを用意して効果の高い広告を見極める施策に加え、既視感が出ないように、クリエイティブな面から定期的に変化を加えていく必要もあります。
まとめ:目的・ターゲットに合ったSNSで動画広告の効果を最大化させよう
ここまでの解説を通じて、SNS動画広告がもたらす効果や広告を成功へと導く方法をご理解いただけたでしょうか。
動画広告の効果を最大化する秘訣は、最初にターゲットや目的を定め、それに合わせて利用するプラットフォームを決定することです。動画広告市場は、今後ますます広がっていくことが予想されます。見る人々の記憶に残りやすく、多くのユーザーにリーチできる可能性を秘めているという点でも、動画広告はビジネスを加速させるために有用な手段だと言えるでしょう。